「シャ! おまえモ書け」

 瞼(まぶた)のない目から、縦長の瞳孔がエルフを見やる。

 その姿はまさしく、爬虫類のトカゲそのものだ。

 彼らは、リザードマンと呼ばれる種族である。

 二足歩行のトカゲと言えば解りやすいかもしれない。

 他種族と交流する事で得られるものは多く、それによりリザードマンの社会も大きな飛躍を遂げている。

 リザードマンの表情はエルフ以上に掴みにくい。

 そもそもエルフのように人間と似ている種族とは、考え方も概念も異なる部分が多く見受けられる。

 同じだと思って接すると痛い目を見る事もある。

 とはいえ、ある程度の理解さえあれば仲良くなれる種族である事は間違いない。

 街並みは人間の港町とあまり変わらず、漆喰やレンガの壁が並んでいる。

 売られている魚の種類が少々、違っている程度だろうか。