それからさらに五日を経て、一同はようやくギュネシア大陸の端を視界に捉える。

「あれが──」

 初めて見る大地にアレサの瞳が輝いた。

 これほどに胸躍る世界があったのかと歓喜する彼の表情は相変わらず薄い。

 エナスケア大陸以外の大地は、シレアにとっても初めてだ。

 否が応でも期待に胸は膨らむ。

 例の件さえなければ、純粋に旅を楽しめただろうにと残念ではある。

 遠目からでも解るほど活気ある港町に船は近づいていく。

 船着き場を行き交っている、おぼろげだった影がはっきりと確認出来ると、アレサの表情は途端に苦くなった。

「解っていたこととはいえ」

 か細くつぶやいた言葉に、二人は苦笑いを浮かべる。