「あんたのおかげでドルドラムから抜け出せる」

 船長が嬉しそうにシレアの手を握る。

 しばらくして、船がゆっくりと動きだした。

 相変わらず風はそよりとも吹かないが、船は何かに引っ張られるように徐々に速度を増していった。

「こいつは凄いのう」

「実際は人魚が動かしてるわけじゃなねぇらしい。海のモンスターを使っているとか」

「海のモンスター?」

「ああ。どんなモンスターなのかは知らねぇがな」

 これだけの船を動かせるモンスターとはどんなものなのかと、シレアたちは互いに顔を見合わせた。