本来ならば半日ほどで進む距離を三日もかかるとは、潮の流れも緩やかとはいえ、これは参る。

 こんなところで足止めを食らうことになる船客たちは、不満げに愚痴を漏らしていた。

「仕方ねえだろ。これは俺のせいじゃねえ」

「ネドリー」

「あん?」

「提案がある」

「言ってくれ」

 持ちかけたシレアに身を乗り出した。







 ──無風状態のまま、船は相変わらずのっそりと進む。

 そんななか、数人の船客が集められた。

「魔法を使える者はこれだけか」

 目の前にいる人々を一瞥していく。

 ローブに身を包んでいる老齢の男性や、ユラウスのように流した衣装を身につけている者と様々だが、その手に持つ杖が彼らをウィザードだと言わしめていた。