「すまない」

「また機会があったらよろしくね」

 惜しむように遠ざかる背中を見送り、渡された革袋の中を確認する。

「どうじゃ?」

「足りそうだ」

「それは良かった。出航の日までのんびりするとしよう」

「しかし、化けたのう」

 シレアだとは気付かずに心惹かれた己が情けないとユラウスは、眉間のしわを深く刻んだ。

「女性の温もりが欲しいときは呼べ」

「うぬうう……。くそ」

 とにもかくにも、一同は宿に向かった。