──朝、シレアとユラウスは早々に旅立つ準備を始めた。

 突然の話にアレサがすぐ我々を信じるとは思えないが、それを待ってもいられない。

 ユラウスの時とは違い、大勢のエルフたちがいるのだから敵の目を集中させる訳にはいかない。

 信じる気になれば追いかけてくる可能性に懸けようと昨夜二人は話し合った。

 装備を整えて外に出ると、何やら騒がしい。

 来訪者か旅発つ者がいるのか、一頭の馬の周りにエルフたちが集まっていた。

「なんじゃ?」

 いぶかしげに眺めていれば、シレアたちの姿を確認したエルフたちが道を分けるように移動していく。

 導くように開かれた先には、馬の手綱を握るアレサが二人を待っていたように視線を合わせた。