「宿の人間か」

「うん、そう」

「ここがあたしたちのおうち」

「泊まって欲しいなら素直にそう言えばいいだろうに」

 なんだってこんなまわりくどいことをと溜め息を吐く。

「それじゃあつまんないじゃん」

「そうそう」

 リボンの言葉にクマは頷いてにっこりと微笑んだ。

「つまらないのはお前たちであって──」

「いいからいいから」

「入って入って。あ、うまは裏のうまやにつないでね」

 シレアの言葉は虚しく遮られ、二人はその勢いのまま青年を宿に迎え入れた。