「誠さん。

あたしは、この身を痛めて貴方を産んだ訳じゃないけど、貴方を本当の息子としてずっと愛してきたの」

「そんなことわかってる」

「誠さん、ありがとう」

ちょっと涙目になったお袋は、どう見たって女にしか見えなくて。

「嗚呼、でも、静さんと血が繋がってると思うと何だか微妙な気分」

俺は、どうにも大きなギャップにまた頭を掻いた。

「あら、どうして?

二階堂家って言ったら、とても立派な血筋なのよ。

代々続いた茶道の家元で……」


「って、マジかよ……」


「サマンサがティータイムから開店なのは、昼間、静さんが家元としてのお仕事をしている為なの。

云わば、あの店は彼の趣味。

彼にしてみれば、貴方との接点をもつ唯一のオアシスだったのよね」


俺の血は、翻弄されている。


素直にそう感じたのも無理はないだろ?