当日、膳の整った部屋に通されると、そこには俺達家族の他に、静さんと見知らぬ数人の男女が待っていた。


その場の異様な雰囲気に、俺はふと不安になった。


――ここはそれ、親戚とかは呼ばなくていいのかよ?


つまりその時この俺は、この会が親類縁者を抜きにした何か特別な儀式であることを感じ取ったのだ。


「いやぁ~ 静、久ぶりだなぁ~

近くに住んでても、なかなか会う機会もないもんだ。

麗(レイ)さんも、遠路はるばる良く来て下さった。

感謝しますぞ」


親父が挨拶してるのは、静さんの隣に座る壮年の紳士。
歳は親父とタメくらいかな。


「蜷川さん、こちらの青年が誠君ですか?」


その精悍な瞳が俺に向けられた。