そんな不安定な気持ちのまま迎えた、俺の二十歳の誕生日。 親父はやけに張り切って、どうしても祝いの会を開くと言ってきかなかった。 確かに一人息子の成人の儀だ。 武家の末裔を誇る蜷川家としては一大イベントと言うところなのだろう。 山の手の高級料亭『落葉』に部屋を取ると、俺の知らない来賓とやらにまで招待状を送りやがった。 見世物じゃねぇっての!