「俺なんて目じゃない位凄い人なんだ。 新堂先輩は。 選手としても、男としても」 「憧れ?」 ――憧れなんて言葉で言い表すことができるだろうか? 香と共に口に広がる、ほろ苦さ。 俺は少しだけ、顔をしかめた。 「それは、恋ね」 のど元を通り過ぎる、甘美な刺激。 「血は争えないわね……」 俺は思わずギクリとして顔を上げる。 そこには、遠い目をして煙草をふかす静さんの横顔があった。