「ちょっと沁みるぞ……」 肩を左手で掴まれ、思わず身体がビクリと震えた。 「なんだ、情けないな、いい男が…… 動くなよ……」 先輩の手が冷たかった訳じゃない。 こんな掠り傷。 沁みたってたかが知れてる。 俺が、怖れたのはそこじゃない。 俺が怖れたのは……