「ラッサンブレ・サリュー(気をつけ、礼)」 緊張を緩めた途端、肩に走った痛みに顔を歪めた。 「蜷川君、大丈夫っ!」 駆け寄って来たのは日向さんだ。 「あ、大丈夫です。ちょっと油断しました」 軽く肩を突かれて、軽く血がにじんでいた。 「すまん。 手元が狂った」 「ちゃんと寸前で止めなきゃ! 新堂君ならできる筈だよ。それも技術の内でしょ」 日向さんに指摘され、面目なさそうに新堂先輩が目を細めた。