「悪い、練習の時間だ」 「えぇ~、これからだよぉ~」 「すまん。三限休講の間だけって思ってたから。 試合も近いし、練習は休めないんだ」 俺はそう言って席を立つと、テーブルの上に千円札を二枚ほど置いた。 「また誘ってよ」 俺はそんな無責任な言葉を残して部屋を出る。 「ねぇ~、じゃ代わりに、武藤君誘ってみる?」 そんな無邪気な声が後ろ手に聞こえた。 俺じゃなくても、誰でもいいってことか……