モノクローム

しばらくそんな日が続き、いつの間にか仲岡さんのペースに巻き込まれ、屋上で会うのが楽しみになっていた。

そこでは二人きりだったから、色んな話しをした。
そう言っても、仲岡さんが一方的に話すのを聞いてる感じだったけど…
それでも何だか友達が出来たみたいで嬉しかった。




「ねぇ…」


「なに?」


「秋って好きな人とか居るの?」


「えぇ?」



いつものように二人で食事をした後、レジャーシートを広げて寝転びながら仲岡さんは空を見上げて言う。



「私さぁ…知ってると思うけど、飛ばされたんだよね…」


「飛ばされた?」


「そ。うちの会社、社内恋愛禁止でさ、それで私も彼も飛ばされたの」



信じられないような話しだと思いながらも、仲岡さんが嘘を言ってるようにも思えず、黙って聞いた。



「最初は仕事辞めようとか話しも出たんだけど、結局それも辞めようって話しになったの」


「どうして?…淋しくないの?」


「平気。今年のクリスマスにね、結婚式挙げるの。知り合いだけのって言うの?それまでは別々でも頑張るって決めたの。彼がお店を出すまでね。」


「お店?」


「うん…まだはっきりとしてないから、なんとも言えないんだけどね…」



仲岡さんはそう言った後、またどこか遠くを眺めた。
その顔はとても凜としていた。