何かの間違いだろうと手を解こうとしても、酔っているとは思えない程に力強い。
何度も呼び掛けて見たが、完全に眠って居る。

私は仕方無しにシロの隣へ腰を下ろし、ベッドに背中を預けた。



寒いなぁ…なんて思いながら、ぼんやりするうちに彼の頭が目の前を通り、滑り落ちるようにして膝の上に見事に着地した。


その時、私は誰かに胸の奥を握られたような、そんな気がした。

喉が詰まるような、何とも言えない気持ち…



まさか恋?
いや、そんな事は有り得ない。
そんな自問自答をして、彼に目線を落とす。

思わず顔の筋肉が緩んでしまいそうなくらい、無防備であどけない寝顔。
その綺麗な顔や髪に目を奪われた。
シロは私に自分とは変わらないと言ったが、私にはそんな風に絶対思えない。

手を握り返せば壊れそうなほど頼りなく、見つめれば向こう側が見えてしまいそうに肌は白く、その髪に触れようものなら、あっと言う間に細く長い糸が絡みついてしまうだろう。


私なんて手は小さく不格好で、肌も白くなければ髪型すら手に負えない状態だ。




なんで出会ったんだろ…

もしも、シロが同じ女だったら、こんなこと思わなかったかな。。。
それとも、男の子に嫉妬する私が馬鹿なのかな?



彼が起きて、こんな事を聞いたら、きっと笑うに違いない。
淡い唇の口角を微かに上げて。



「あき」


とても優しい声でシロは私の名前を呼ぶ。
寝ぼけているのか、手錠の掛かった足首にそっと触れる。
その手はとても温かかった。