取りあえず、私は蹴散らした袋を1つずつテーブルの脇にまとめ、食事が出来上がるのを期待しながら待つ事にした。

キッチンでは、シロが楽しげに鼻歌を奏でながら、着々と準備を進めている。
主婦の自分よりも、実に手際が良い。


「すぐ出来っから」

「……うん」



動きに無駄の無いシロの背中を見ながら、ぼんやりしていると


「あ。そうだ、それ。そこの袋…」と、シロが言うので、「これ?」と尋ねるように私は袋を指してみる。


「そう、それ。適当に買って来たからさ、合うか分かんねぇけど、取りあえず必要だと思って」



「……」

彼が言うように、確かに必要な物が袋の中にはある。
あるのだけれど…



「シロが買ったの?」

「そうだけど?あ、気に入らね?」

「いや…」



それ以前に買いすぎだと思う。それに、ここまでするなんて有り得ない。

勿論、私がそんな事言える筈もなく…


「まさか…これ、全部じゃないよね?」と訊くのが精一杯で。


だけど、シロはさほど気にしてない様子で。


「人の好意は素直になるもんでしょ」

そう言うけれど、明らかに使い方間違ってるし、私は受け取れない。


「使えない。悪いけど」

「なんで?だって、必要じゃん。つか、食お。俺も腹減ったし」