グラタン、腐ってるだろうな…


例えば神様が居たとして。
この世の中の全てを作成しているのならば、何もかもに置いて平等で有るべき、と思うのは単なる妄想にしか過ぎない。

秩序の欠片も無くなった世界に平等が在るとするなら、どんな不条理な出来事が起きても、明けない夜はないし、太陽は誰にでも平等に照らす事。
それくらいなのだろう。



「いい加減、何か喋ってよ」


「………」




遮光カーテンの引かれた薄暗い部屋には、隙間から洩れる光りが一本の線を描いていた。
それはまるで「入って来るな」と言わんばかりに真っ直ぐに部屋の真ん中を仕切り、目の前の人物を遠ざける。

だが、そんな線を引かれた所で私には無意味な物でしかない。
もっとも、自由を奪われた状況の中で意味の在る事など無いのかもしれないけれど…。



「ねぇ」


「……」




また、だんまりか…。

ここに来てから役半日。
目の前の人物はフードを深く被り、青白い画面に向かったまま一言も発しない。
その姿から男である事は想像出来たが、何の目的があるのか全く思い付けなかった。

居心地の悪い冷たい床で姿勢を変える度に金属の擦れる音がする。
ベッドにもたれ、見えもしない空を睨んだ。



誰がこんな事、願った?
叶えるなら、もっと別な方法があったはずでしょう?


ねぇ。誰かさん…