私は地元のタブロイド紙を眺めていた。

謎のホッシー
無差別襲撃

という見出しがあった。
小型のホッシーが突如現れ、道行く人々に次々と突進し、体当たりを喰らわせていた。体当たりをすとそのホッシーは相手に対し、「これであなたも幸せ」と叫んだという。
その効果か、当日、横浜の場外馬券から万馬券が多発、さらに高配当の馬券も多発したという。
ホッシーに当たり骨折した男性は治療のため整形外科医に行ったが、そこで生き別れた兄と再会したという。
また、被害者第一号と思われる若い男性は喧嘩別れ、別居していた妻と仲直りし 、今は住まいを共にしているという。
巷では
「星の体当たり幸福をもたらす」
という噂で溢れている。
界隈では連日ホッシーを探し回す人もいるという。
この事件に関し、映像や写真がないので、当紙は取材を続けたいと思う。


私は坊主に聞いた。

「こんな事ってあるんでしょうかね?」
「こんな事?」


「はい。不可解な事です」

「それならば、私がほうきに乗って空を飛ぶなんてしたら、それは不可解ですか?」

「不可解に決まってる!」

「そんな事はありませんよ。不思議なだけです」

「あ!」

坊主はほうきに股がると、スルッと空に浮かんではどこかに飛んでいってしまった。