私は満身創痍、心身疲労、両足首捻挫、右膝関節炎症にて
部屋で動けないでいた。
ここ何日はゼリー状飲料、お煎餅を食べて生きている。
お金がないわけじゃない。
立ち上がれないのだ。
その時、携帯がメールを受信した。

「渡すものがある。10分で来い。東神奈川のいつもの喫茶店。すでに待っている。」

田村さんからだ。


「ご苦労だったな高田」

「私一人だけってキツかったですよ。二人くらいスタッフが欲しかった」

「あなた一人でやるのにあなたの意味があるのでしょ」

「…。で編集は進んでるんですか?」

「よく撮れてたよ。さすが高田。記録映画にするのがもったいないくらい」

「そんな映像で他にどんな映画に出来るんですか~」

「恋愛映画とかいいかもね」

「はい?」

「はいこれ」

「なんですこれ?」
「次の任務」

「あの…私、両足怪我してるんですけど。両足首捻挫と右膝の炎症」

「あら、ここまで来れたじゃない」

「そりゃあなたに呼ばれりゃ来ないわけいかないじゃないか!」

「ネット公開が怖いの?」

「そんなんじゃない!」

「へへ。高田のその力、頼りにしてるわよ。足もすぐ治るわよ」

田村さんは私の右膝をその手で撫でた。