暗い夜道にはあたしと後ろのアイツの靴音だけがイヤに大きく響き渡る。 すぐ側まで来ているコツコツと鳴る特徴的な足音。 このままじゃ追いつかれる――! そう思って駆け出すと、アイツも同じ行動をとった。 「……っ!!」 振り向かなくても耳に届く音で距離感が分かる。 いや、というよりも振り向けない。 振り向きたくもない。 焦りと恐怖で足が思うように動かない。 ダメ、こんなんじゃ捕まるっ。 動け、走れ、もっと速く――!!