「花梨(かりん)!珊(さん)!海(うみ)!」



「赤王様!」



礼の姿を認めると、笑顔の三人が近づいて来た。



が、直ぐに沈んでしまう。



おそらく三人も、“天界の真実”を知っている。



だが、確認するのは彼女たちではない。



「何だか不思議な気分ですわ。
こんなにすぐ、二度もお会いできるなんて…
滅多にありませんもの。」



悲哀のある笑みを向けられた。



その笑みに耐えきれず、礼は話を別の方に引っ張った。



「あっ、そうそう。
赤宮にいる私の侍女もね、あなたたちと同じくらいなの。
光燐って言うんだけど…」



たわいもない会話をした。



ふと黒い固まりを目の端で捉えると、そこには鰯が座っていた。



真実を話すのは、“自分たちの役目でない”ことを彼らは知っている。



だから、花梨も鰯も礼に真実を話すことはなかった。