捜していた主の声が、聞こえた。 途中で止まる。 ―あぁ、良かった。 生きている。 伯升は、心からそう思った。 「伯升か!?」 驚きつつも、名前を呼んでくれた。 「当たりです。」 鉄格子に近づく。 拷問の傷らしきものもあるが、思ったより元気そうだ。 「獅子殿。 私はこんなことは頼んでないぞ。」 怒った顔も懐かしい。 「だって、潜り込んでたんだ。」 やはり、この男が獅子だった。 怒られて口を尖らせている。 ―ずるい。