子州から広がった病が、民を疲弊させている。 栄楽にとってそれは耐えがたいことだったが、今は利用する方が賢明だった。 一時のことに心を揺らすわけにはいかない。 “仲間”も皆同じように苦しんでいるのだろう。 しかし、それが、新たな赤国を創り出す。 主人の顔も、女の顔も、頭から押しやった。 明日からが勝負だ。 栄楽は、冷たい砂漠の中にいた。