少しばかり良い馬を買ったから、高くついた。 金は惜しまなかった。 その分速く、赤宮城につける。 二晩目を駈けた。 擦れて痛かった尻も、もう感覚がない。 虎州に入った辺りから、風と一体になったような気がした。 そのうち、風そのものになった。 陽が登り始めた頃、赤宮城が自分から近づいてきた。 風は、はっと人間に戻る。 「開門!開門!」