旅の帰路にあった青年は、水を求めて小さな村に立ち寄った。



“裏の仕事場”は、この先の街にある。



あと一日で着くはずだった。



部下の報告を受けたとき、青年は底知れぬ絶望の中に突き落とされた。



いくら駱駝を歩かせようが、一日経とうが二日経とうが、街に入ることができなくなってしまった。



運が良かった、と皆言うだろう。



天に生かされたのだと、青年も思う。



だが、それはありがた迷惑の何ものでもない。



後悔だけが募る。



自分の後見に就いてくれた人の安全を、ひたすらに願った。