「あの方、とは?」 そう問いた途端、きっと睨まれた。 大人びた雰囲気が消え、少女は怒っていた。 「お前など、駒でなければ殺してやるわ。」 その憤りを見て、明道はやっと落ち着きを取り戻した。 少女は少女だ。 「私は、王宮に残ります。 ここでやるべきことがありますから。」 少女は、ふんっと踵を返して出て行った。 やはり、何かおかしい。 王宮が、この国が、誰かの陰謀に巻き込まれているのではないか。 明道は二人のこととは別の不安を拭いきれなかった。