「明道殿、お別れです。 お二人が無事でいることを、祈っていてください。」 花英は言ってしまうと、部屋を飛び出した。 くれぐれも私が言ったとはご内密に、という言葉を背で聞いた。 明道がどんな顔で見送ったのかわからない。 庭が赤く染まり始めた。 草木と一緒に、花英の何かも燃えている。 荷はいらない。 大事なものなどここにはない。