「何をおっしゃいます。
明日も駈けなければならないのですよ。
どうかここでお休みください。」



「こいつに全て任せるのか?」



まだにやついている伯升に、張湯は一瞥をくれた。



伯升の笑みは消えたが、朱雀はこだわるだろう。



「朱雀、いいの。
私と一緒にいてちょうだい。
伯升、あんた変なの選ばないでよ。」



王は、朱雀のことを理解している。



王の言葉に、朱雀は素直に従った。



張湯は内心ほっとする。



「伯升、なるべく早く戻れ。
王と祝融様のお手を煩わせる訳にはいかぬ。」



伯升は頷くと、すぐに姿を消した。



空は、まだ明るい。



夕刻までには、野宿の準備も出来るだろう。