「囚人に殿などつけるな。 お前のは、答えになっておらぬ。 主上と祝融様は、一度張湯に会いに行ったそうだな。」 「はい。 杜廷尉から報告があがっています。」 「ふむ。」 郭丞相は、白が混じり始めた顎髭を撫でた。 考えるときの癖である。 楽布には掴めていない何かが、郭丞相の頭には浮かんでいるのだろう。 「手の者を呼べ。」 郭丞相がそう言ったのは、二刻後だった。