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獅子は、彩夏を担ぎ上げて走っていた。



「おっと。」



慌てて茂みに飛び込む。



警備兵の循環だ。



付いて来た男も素早く動いていた。



「いやー、王様以外と気が聞くねー。」



獅子がそういうと、花英と名乗る者は些かむっとしたようだ。



警備兵が何やら伝令をうけ、引き返している。



「私が先に登る。」



花英は言うなり、城壁を軽々と登った。



腕は駄目だと言っていたが、こういうことは得意らしい。



城壁から縄が降ってきた。



彩夏を抱いたまま縄を掴み、引き上げてもらいながら登る。



すぐに、反対側に降りた。



下には町人の格好をした馴染みの者が待っていた。



彩夏をみると、眉をひそめる。