「美しい…」



ぽつりと漏れた自分の声に驚いた。



今の言葉は宋春に聞こえただろうか。



急速に羞恥が込み上げてくる。



この牢内にいるのは、宋春だけだ。



彼は逃れらない。



小さな王。



獅子の言う通りだった。



小さな身体から、あの覇気はどこから生まれたのか不思議だった。



そしてあの時、王を前にして決心はついた。



―私が護ろう。



ふと、階下を走る音がした。



一人。



いや、三人だ。



先に駆け下りてきたのは伯升だった。



「隊長!」



鍵を開ける。



すぐに王と朱雀が追いついてきた。



「主上!」



張湯は思わず呼んでいた。



「行くわよ!」



王は微笑み返す。



ただそれだけで、十分だった。



四人は駆け出した。