さすがに今日は、獅子は顔を出さなかった。



決行は間近だ。



―蘭白酒、明日寅の刻。
蠍、脱獄。



何度も心で唱えた。



それらの言葉は血死軍の暗号だった。



どうやら杜廷尉にも、そこまでの知識はなかったらしい。



だが、伯升め、と張湯は怒っていた。



―王に何たる言葉を吐かせるか。



実際、王の演技に気圧されて、危うく聞き逃すところだった。



共にやって来た杜廷尉たちも、王に釘付けになった。



その間、朱雀は鍵を粘土に型押ししていた。



かなり念入りに色々な角度から型をとっていた。



張湯は、ひたすら顔を俯かせて王の演技を本物にしたのだ。