「いや、お前の死体を見ながら、杯をあげるとしよう。
そうだな。蘭白酒に、蠍をつまみにしよう。」



王が高らかに笑うと、朱雀がそれ以上は、と止めた。



その手にはきちんと鍵が握られている。



―何も、なかったのか?



王は牢から出ると、杜廷尉を一別して歩き出した。



従者の一人が慌てて先行する。



朱雀が杜廷尉に鍵を押しつけると、そのまま追いかけていった。



後方を従者が挟む形で戻っていく。



杜廷尉は礼が去るまで頭を下げ、掌にある鍵を見つめた。



―油?



鍵が滑りで光っている。



やられたかもしれないと思いながら、杜廷尉は鍵を閉めた。



「災難が続くものだな。」



杜廷尉は、張湯にぽつりと言い、牢を後にした。



張湯はずっと床を見つめたままだった。