自己中彼氏

「っんと駄目ねぇ……」










俺はまた氷の上で転ぶ。








「何回言っても覚えないんだから!!」











俺は無理やり真美さんに
滑り方を教わっている。





何で俺がこんな目に……。






「さぁ早く立って!」






鬼……。





「もうやってらんねぇ!」






「ちょっと!どこ行くのよ!!
滑れなくて悔しくないの!?」






悔しい??
そりゃ悔しいけど……。






「おぉ!上手い上手い!!」



ふいに俺に耳に村澤の声が
聞こえてきた。



声がした方に目をやると
楽しそうに滑る2人。





村澤の場所を俺に頭の中で入れ替える。





『悔しくないの!?』







「知るかよ……」




「ちょ!春人君!!」






俺はスケート靴を脱ぎ
自販機に向かった。






「素直じゃないな……」





真美が呟いた。