自己中彼氏

「着いた」



10分程歩いて、辿り着いたのは、小さな丘だった。



「ここで、なにかあるの?」


「まぁね」



春人はあたしの手を取り、再び歩いた。




20歩ほど行ったとこで、あたしが目にしたのは



綺麗な夜景だった。



「きれぇい」



ビルや


家などのたくさんの光が集まって、宝石箱のように輝いていた。



「これを、由香に見せたくてね。前、由香の家行ったとき、偶然見つけたんだ」



そう言って、あたしの顔を真剣に見つめる。


「なぁ、由香」


ドキン……



胸が、高鳴る。


そんな目で……

見ないで……


あたしは目を逸らした。


「由香、ちゃんと俺の顔を見て」


そう春人が、いつもより1オクターブ低い声で言う。



そして、あたしにこう言った。



「結婚してくれ」―――