自己中彼氏

1時間くらい喫茶店で過ごし、店を出た。



「やっぱまだ寒いねぇ……」




そう言いながら、由香は首にさっきのマフラーを巻きつける。



3月上旬といえども、とてつもなく寒い。



「温かくしてあげよっか?」



「え?」



俺は由香に向けて、制服のポケットを開く。


「手、入れて」



ドラマとかで、よくあるこの行動は俺の精一杯の行動だった。



由香は少し恥ずかしそうに、右手をポケットに入れてきた。




「ふふ。温かい……」




赤らめた頬にする由香。
きっと俺も相当顔が赤いと思う。






「ねぇ、春人……」




「ん??」




「キス……して?」





「え!?」



「駄目??」



「いや、駄目じゃないけど……」




駄目じゃないけど、自分からキスして欲しいなんて、初めてだろ?

すんごく嬉しいけど、すんごく驚いてる。
しかも、ここ街中だし。


いや、俺も街中で抱きついたけどさ。