この気持ちの向こうに

翌日、なぜだかあいつの家に強制連行されている俺。


え?なぜ逃げないかって?


それは右にも左にも俺と比べものにならないくらい、体格のいいおっさん等が俺をがっしりとつかんでいるからだ。


おかげで体が少しも動かない。


藤堂のやつ、ぜってぇしめる。


と心の中で叫びつつも、藤堂って何者だ?という疑問も浮かべていた藍だった。






30分くらいだろうか、車がどこかの敷地に入り、ドアが開いた。


そこで見た風景は俺の想像をはるかに超えていた。


目の前には外国の城かっていうくらい大きい屋敷ととてつもなく広い庭があった。


呆然としている俺だったが、あっという間に両脇を抱えられ、抵抗もむなしく中へと連れて行かれた。


「よう藍。」


声の聞こえた方向を見るとそこにはやはりあいつがいた。


「藤堂…」


コツコツと階段を降りてくる藤堂。


その姿はまるで、どこかの国の王子のようだった。


って何見とれてんの俺?!


そんな俺が百面相をしていると、藤堂が俺を掴んでいたおっさん達に合図をした。


すると二人はあっという間に部屋から出て行ってしまった。