ドンッ!!

いきなりのことに眺めていたケーキの箱を落としてしまった。

ぶつかって来た青年は、慌ててしゃがみ込むとそのケーキを拾う。

「すいませんっ!あの…急いでいまして…」

本当に申し訳なさそうなその様子に笑うと、ケーキを受け取って中を確かめた。

少し形は崩れたものの、変わらず美味しそうなその姿。

ほら、と青年に見せて、もう一度笑いかける。

「大丈夫、気にしなさんな。急いでるんじゃないのかね?」

問いかけにも答えず、少し崩れたそのケーキを見た青年は鞄を探るようにすると、一枚のカードを取り出した。