あんなにお世話になって、 お礼をしに行きたいのに いざとなると一歩が踏み出せなくて、 結局いつものベンチに座ってしまう。 信号を渡ればすぐ、 瞬さんのバイト先のカフェなのに‥。 ――ずっと、好きな子はいるみたい―― なぜか、佐々木先輩の言葉が耳について離れない。 そんなことをして一週間が過ぎてしまった――。 今日も、借りていたパーカーを持ち歩いて、予備校まで来ている。