四十階段物語





「私はそんなことしておらんよ。子供の話声がした、まだ罪を忘れていないのにとは思っておったが、何も手を出してはおらん」

「・・・何も?」

「ああ。もう歳だし、わたしは膝が悪いもんでな・・・。悪戯か何だか知らんが、そんなことできん」

「え・・・だって、ここにはあんた一人しかいないだろ・・・?」

「分からん。耳が遠くて、小さな音なら誰かがここの階段の存在を知って入ってきても気付かんからな・・・」

「誰かがいてもおかしくないと?」

「ああ」



そんな・・・・・・。



「・・・だがな、坊ちゃん」




罪人は俺にそっと耳打ちした。