「あ」

 そうだった、忘れてた……と、ナユタは思い出しベリルの前に立つとペコリと腰を折る。

「?」

「この前は助けてくれてありがとうございます」

「! ああ……」

「会ったらちゃんとお礼を言おうと思ってたの」

「そうか」

 随分と律儀なものだ、こちらは半ば楽しんでいたので礼を言われる事もないのだが……

と思いつつ携帯を手に──した途端、アユタがさらりと彼の手から携帯を奪い取った。