アユタの好奇心は、ベリルの全てに向けられている──リアルで見る初めての傭兵に、興味は尽きないのだろう。

 もっとも、傭兵の中でも彼は特別な存在ではあるのだが、彼を基準には決して考えてはならない。

 ナユタは、ベリルが目の前にいるというだけで今は幸せだった。

 救いの手が欲しくてめちゃくちゃに送ったメールに偶然つながった事で彼の存在を知り、見えないながらも姿を知った事で救い主というだけでなく異性に向ける感情を抱いてしまった。

 何も応えない携帯を哀しく見つめる日々を過ごし数ヶ月が経ったいま──ようやく出会えて、本当に存在していた事がはっきり確認出来た。

 考えただけで涙が出そうだ。