「なに? それ」

「投げ用のナイフだよ。ほら柄が無かったでしょ」

 小さく首をかしげるナユタに、弟は顔を向けて説明した。

「! ああ……そういえば」

「スローイングナイフは投げ専用だから、持って使うには不向きなんだ。それなりの技術が必要なんだけど、違和感なく使ってたからスゴイや」

「……」

 本当に余計な知識を……ベリルは半ば呆れて少年を見下ろした。