「うっ!? な……っ!?」

 一瞬で仲間を2人倒された残りの男たちは、とっさにスーツの中に手を潜り込ませる。

 それを視界に捉えていたベリルは腰の背後からナイフを取り出し、右の男にナイフを突き立てた。

「ぐおっ!?」

 少しひねって抜き出された腕の傷を押さえ、男はかがみ込んだ。それを見た男は、懐に入れている手を止める。

「よく考えてから出すのだな」

 武器を出せば、ここが日本であるという躊躇(ためら)いを消し去り、男を叩きのめす──ベリルはその決意の瞳を向けた。