「日本マフィア風情が手にするようなものではない」

 静かに発したベリルを男たちは睨み付け、それが合図のように1人の男が右手を握りしめ拳を固くした。

 ベリルは殴りかかる腕をすかさず両手で掴み、合気道の要領で男を地面に転がす。

 それを見た他の男たちは少したじろいだが、一斉に掴みかかった。

 もちろん、同時といっても少しずつのタイムラグは存在する。

 ベリルはそのタイムラグを一瞬で察知し、右にいる男に肘鉄を食らわせ体勢をそのままさらに低くして左隣にいた男の懐(ふところ)に素早く入り込んみ、みぞおちに膝をめり込ませた。