朝──

「え~? モデルガンを取りに行けってぇ?」

 朝食を終えたナユタが、同じく食べ終わって小学校に行く合間にテレビゲームをしているアユタに声を上げる。

「いいじゃん。どうせ暇なんでしょ」

「生意気な……」

 就職先も決まらずに暇ですよ~だ。ナユタは弟の背中に舌を出した。

 好きで暇してるんじゃないんだもん、この就職難にあたしだって必死なんだぞ……と心の中で叫びながら駅に向かう。

 閑静な住宅街の朝は通勤の男女が多く、時折すれ違う見知った顔の人々に軽い挨拶を交わしながら少女は朝の空気を味わっていた。