「ベンチの後ろに」

「え?」

「敵だ!」

 ベリルは紙バッグをナユタに渡すと、近づいてきた数人の男たちに険しい表情を向けて立ち上がる。

 2人は慌てて、言われたとおりにベンチの背もたれに回り体をかがめた。

 暗いスーツを着た4人の男たちは、ベリルを威圧的に見下ろす。全員、日本人らしいがベリルよりもやや背が高い。

 彼は外国の人間とはいえ、小柄なため見下ろされることはよくある。