「どういう事だ」

<いやホントごめん……>

 青年は、かかってきた電話に眉をひそめる。

 ここはアメリカ合衆国のニューヨーク州にある街、その一角のオープンカフェだ。

 州の中心都市ではないため、人混みはさほどなく高い建造物も多くはない。

 足音と車の走る音とエンジン音が、まるでその街の音楽のようにむしろ心地よくもさえあった。

 その角を曲がれば危険地帯だという境界線は、観光客には何1つとして知り得ない。そんな国だ。