しばらく歩くと、ベリルがバックポケットから携帯を取り出した。

「!」

 ナユタはその携帯に心がキュッと締め付けられる。

 全ては携帯メールから始まった──そう思うと、ベリルの携帯に何かしらの感情が湧いてくる。

 電話をかけながら歩くベリルの背中を見つめた。

 やっぱりキレイだなぁ……思って、少しの風にもなびく金色の髪に目を留める。

 後ろ姿からしてすでに上品だ。

 動いたらさらに上品だし、一つ一つの動作がとてもキレイ。

「解った」

 そう言って通話を切ったベリルは、やや視線を泳がせて一軒のカフェに視線を留めた。

 ナユタに目でそこに行くように示す。